今回は、杭工事における製品活用例をご紹介します。
はじめに
杭基礎工事とは主に軟弱な地盤における構造物の建設において、地下の硬い地盤まで深く杭を打ち込み構造物を支える基礎工事のことを指します。使用される杭や工法はいくつかの種類があり、地盤の状態などによって杭の種類や工法を検討します。
一方、杭抜き工事とは建物を解体した際に、地中に埋込まれた杭を引き抜く工事のことを指します。地中に埋込まれた既存杭の杭外周をケーシングで削孔し、縁切りを行います。その後、ケーシングを引き上げ杭を引き抜きます。
プレボーリング工法
杭基礎の工法は大きく分けて既製杭工法・場所打ち杭工法に分類されます。
既製杭工法の1つプレボーリング工法は、掘削液を注入しながらオーガーで地盤を掘削し、孔底に根固め液を注入します。その後、杭周固定液を注入しながらオーガーを引き上げ、既製コンクリート杭を建て込む工法です。
<プレボーリング工法施工イメージ>
崩壊性地盤掘削時 「パイルゲル」
この掘削液として通常はベントナイトや水を使用しますが、掘削後、孔壁が安定せず地盤が崩壊して孔底に堆積し、杭の高止まりが発生することがあります。そこで掘削剤『パイルゲル』がおすすめです。本剤は以下の大きな特徴があります。


・孔壁を安定させ砂礫の崩壊を抑え、杭の高止まりを防止する「パイルゲル」
硬質粘土層掘削時 「硬質粘土軟化剤」
硬い粘土層を掘削する際に水で掘削すると、オーガーに粘土が固着、共周りが発生し排土不良になり、掘進スピードが低下することがあります。固着を解消するためには従来は送水量を増やして対応していますが、排土量が増加してしまい産廃コストの増加につながります。
<従来の問題点>
そんなときは水の代わりに『硬質粘土軟化剤』をお勧めします。本剤を使用して掘削すると、粘土が軟らかく泥土化しスムーズに排土するため、掘進スピードと排土量を維持することができます。
<硬質粘土軟化剤使用時>
オールケーシング工法 「ホレ-ル2.0」
オールケーシング工法は、場所打ち杭工法のひとつです。掘削を開始する前にケーシングチューブを揺動または回転させて押し込み、孔壁を保護します。その後ケーシング内部を掘削し、ハンマーグラブで掘進する工法です。
<オールケーシング工法施工イメージ図>
ケーシングを圧入する際の摩擦低減には『ホレ-ル2.0』がおすすめです。水で溶いた本剤をケーシング表面や地山との間に流し込むことで、摩擦力が低減し、孔壁も安定、低トルクでスムーズに掘削できます。
実際の施工動画をYouTubeで公開しています。
・シルト層から砂層に変わってもそのまま掘削できる「ホレ-ル2.0」
杭抜き工法 「プルトップ」
杭抜き工法のひとつ、輪投げ工法(オーガーケーシング工法)は、ケーシングによる削孔で地盤と既存杭の縁切りを行った後に、杭にワイヤーをセットして引き抜く工法です。引き抜き完了後、埋戻しを行います。
ケーシングで削孔する際、従来は水やベントナイト溶液を使用しています。その際、孔壁の崩壊により杭と地盤の摩擦力が高まり、杭の引き抜きの最中に折れてしまったり、破損してしまうことがあります。

そこで、ベントナイトに代わり杭抜き剤『プルトップ』を使用することで、孔壁の崩壊を防ぎ、杭の引き抜き時に杭と地盤の摩擦力を低減し、杭が折れるのを抑えます。

・杭と地盤の摩擦力低減と孔壁の安定を図り、 スムーズに杭を引き抜く「プルトップ」
以上、今回は杭工事における製品活用例をご紹介しました。ぜひ、各製品情報もご参照ください。
※各製品とも必ず施工前にテーブルテストを行い、適正な添加量を確認してください。