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場所打ち杭工法の基礎知識

場所打ち杭工法の基礎知識

今回は『場所打ち杭工法の基礎知識』について解説します。

 はじめ

杭基礎工事とは主に軟弱な地盤における構造物の建設において、地下の硬い地盤まで深く杭を打ち込み構造物を支える基礎工事のことを指します。杭基礎工事には大きく分けて既製杭工法と場所打ち杭工法があり、今回は場所打ち杭工法について解説します。
場所打ち杭工法 機械掘削工法
オールケーシング工法 コンクリート杭
アースドリル工法
リバース工法
人力・機械掘削工法 深礎工法

 

 場所打ち杭とは

あらかじめ地盤を掘削し、削孔された孔内に鉄筋かごを挿入しコンクリートを打設してつくる杭を指します。土質による影響が少なく、大口径で長尺の杭を造ることができます。また、騒音や振動が比較的小さいことから多く用いられます。孔壁保護や掘削方法により以下の工法に分類されます。
工法
孔壁保護
掘削
地盤条件
支持層までの深さが深い 中間層に径10㎝超の礫
オールケーシング工法 全層ケーシングチューブにより行う。コンクリートを打設しながら、ケーシングを引き抜いて杭を造成する。 ハンマー
グラブ
アースドリル工法 表層部にケーシングを入れ、安定液にベントナイト溶液を用いる。 回転バケット ×
リバース工法 表層部にケーシングを入れ、清水を孔内に地下水位より2m以上の高さに保つように入れる。 回転ビット ×
深礎工法 土留めリングを用いて行う。 人力で掘削 ×

 

 オールケーシング工法

掘削孔の全長に鋼製の筒(ケーシングチューブ)を設置し、孔壁保護を行います。掘削を開始する前にケーシングチューブを揺動または回転させて押し込み、内部を掘削し、ハンマーグラブで掘進する工法です。孔壁の崩壊のリスクが少なく、スライム除去が容易です。
<オールケーシング工法施工イメージ図>

 アースドリル工法

ドリリングバケットを回転させることによって地盤を掘削し、バケット内に収納した土砂をバケットともに地上に引き上げて排出する工法です。掘削完了後、ドリリングバケットを底ざらいバケットに交換してスライム処理を行います。機械設備がコンパクトで場所をとらず、さらに他の場所打ち杭に比べ施工速度が速いのが特長です。
<アースドリル工法施工イメージ図>

 リバース工法

水圧で先端のビットを回転させて地盤を掘削し、水に混じった土砂と一緒に吸い上げ沈殿槽に排土する工法です。汲み上げたものはろ過装置を用いて土砂と水に分離し、土砂は廃棄、水は再利用します。低騒音・低振動で、大口径・大深度の施工が可能です。
<リバース工法施工イメージ図>

 深礎工法

孔底に人が入って掘削・排土する工法です。狭い場所や傾斜地での施工が可能ですが、自立している地盤でなければ施工できません。さらに孔壁の崩壊などの安全対策が必要です。

 

 

以上、今回は場所打ち杭工法の基礎知識についてご紹介しました。

 

参考文献)
国土交通省「公共建築標準仕様書(建築工事編) 令和4年版」
井上国博・三村大介・打矢瀅二・本田嘉弘 著「イラストでわかる建築施工」 株式会社ナツメ社(2022年5月)
松本進・臼井博史 著「図説 やさしい建築施工」 株式会社学芸出版社(2014年12月)
原口秀昭 著「ゼロからはじめる建築の「施工」入門」 株式会社彰国社(2013年3月)

 

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