今回は『既製杭工法の基礎知識』について解説します。
目次
はじめに
既製杭の施工方法は打込み杭工法・埋込み杭工法・回転杭工法があります。
既製杭工法 | 打ち込み杭工法 |
打撃工法 | コンクリート杭 |
鋼管杭 | |||
バイブロハンマ工法 | 鋼管杭 | ||
プレボーリング併用打撃工法 | コンクリート杭 | ||
埋め込み杭工法 | プレボーリング工法 | コンクリート杭 | |
中堀り工法 | コンクリート杭 | ||
鋼管杭 | |||
鋼管ソイルセメント杭工法 | 合成鋼管杭 | ||
回転杭工法 | 鋼管杭 |
既製杭の種類
プレボーリング併用打撃工法
アースオーガーで一定深度まで掘削し、杭を建て込んで打撃により支持層まで打込む工法です。孔径は杭径-約50mmとやや小さめに掘削します。杭と地盤が締め固められ、地盤が安定します。
埋込み杭工法
プレボーリング工法
掘削液を注入しながらオーガーで地盤を掘削し、孔底に根固め液*1を注入します。その後、杭周固定液を注入しながらオーガーを引き上げ、既製コンクリート杭を建て込みます。最も施工実績が多く、一般的な工法です。
根固め液や杭周固定液は、杭を支える重要な役割を担っているため、強度試験で品質を確認する必要があります。公共建築工事標準仕様書で定められた圧縮強度(N/m㎡)は以下の通りです。
種別 | 圧縮強度(N/m㎡) |
根固め液 | 20以上 |
杭周固定液 | 0.5以上 |
*1…根固め液はセメント+水でセメントミルクとも呼ばれます。水セメント比70%(質量百分率)以下のセメントミルクとし、注入量(㎥)は掘削断面積(㎡)×2(ⅿ)以上とします。
セメントミルクを使ったプレボーリング工法をプレボーリング根固め工法またはセメントミルク工法ともいいます。
中堀り工法
杭の中空部にアースオーガー等を挿入し、杭先端地盤を掘削を行い、中空部から排土しながら杭を圧入、または軽打により杭を設置する工法です。比較的杭径が大きい場合(450~1,000㎜程度)に適しています。杭自体がケーシングの役割をするので、孔壁保護の必要がありません。
鋼管ソイルセメント工法
掘削撹拌ヘッドで掘削しながら先端よりセメントミルクを注入し、原地盤と混合しソイルセメント柱を築造します。その後、ソイルセメント柱の中にリブ付き鋼管を挿入する工法です。高い支持力を有しているため、杭本数を少なくできます。
回転杭工法
杭の先端部に先端翼を付けた鋼管杭を回転させて圧入していく工法です。圧入の補助として、杭先端から水などを噴出させます。排土が発生しないのが特長です。
以上、今回は既製杭工法の基礎知識についてご紹介しました。
参考文献)
国土交通省「公共建築標準仕様書(建築工事編) 令和4年版」
井上国博・三村大介・打矢瀅二・本田嘉弘 著「イラストでわかる建築施工」 株式会社ナツメ社(2022年5月)
松本進・臼井博史 著「図説 やさしい建築施工」 株式会社学芸出版社(2014年12月)
原口秀昭 著「ゼロからはじめる建築の「施工」入門」 株式会社彰国社(2013年3月)