今回は『推進工法用滑材の基礎知識』についてご紹介します。
推進工法とは
「推進工法」とは、発進立坑から到達立坑へ、先端に掘進機を取り付けた推進管をジャッキを使用して前進させる工法のことを指します。主に下水道管、雨水管、電力管をはじめとするパイプラインのインフラ整備に広く利用されています。
推進工法における滑材の役割
1. 推進力低減
推進管を押し進める際、地山と推進管との間で摩擦抵抗が生じます。この摩擦抵抗を低減させるのが、滑材の役割です。
2. テールボイドの保持
推進管外周全体に均等に滑材を注入することで、テールボイドを安定させ地山の緩みを防ぎます。
滑材の種類
滑材の種類は主に以下の4種類があります。
1. 一体型混合滑材
工場出荷時にあらかじめ配合された粉体または液体の滑材。
2. 粒状型滑材
高吸水性ポリマーを主成分とした滑材。
3. 固結型滑材
二液混合タイプで、混合後およそ30~60秒以内にゲル状態になる滑材。可塑剤とも呼ばれる。
4. 遅硬性滑材
推進時は滑材、推進終了後は固化して裏込め材として機能する滑材。
滑材の選定にあたっては、地下水による希釈、劣化、地中への逸失などに対応するため、施工前の計画段階で地下水の水質や地盤の特性を考慮する必要があります。
滑材の注入量
推進工法は主に『泥水式』『土圧式』『泥濃式』の3種類があり、滑材注入量は工法により異なります。
泥水・土圧式推進工法の場合
泥濃式推進工法の場合
滑材は土質により地盤への浸透性が異なります。工法、土質等の工事条件や注入圧、注入量を総合的に勘案して、滑材注入管理を行うことが重要です。
※いずれの工法においても推進延長が250m以上の場合、滑材の劣化による推進力の上昇を抑えるため、滑材を補足注入する必要があります。
関連製品
推進工法やシールド工法、ケーソン工法において躯体と地山の摩擦を低減させるゲル状滑材。
完全にゲル化した状態で注入し、確実にテールボイドを充填する可塑性の固結型滑材。
推進工法やケーソン工法のコンクリート躯体表面に塗布して使用する塗布型滑材。
関連記事
滑材『こんにゃく充填剤』についてはこちら
塗布型滑材『コンクリート管マニキュア剤Ⅱ』についてはこちら
固結型滑材『こんにゃく可塑剤』についてはこちら
『推進工法の基礎知識』はこちら
以上、今回は推進工法用滑材の基礎知識についてご紹介させていただきました。
ぜひ参考にしてみてください。